また、直子さんの死後、高井容疑者にメールが送信されていたことも判明した。直子さんのスマートフォンから、自動送信の予約がされていたのだ。府警は、高井容疑者が、直子さんが生きているように偽装したとみている。
高井容疑者が直子さんと接点ができたのは、高井容疑者が外資系保険会社員の時だった。直子さんはそこでの顧客だった。
「直子さんは、病弱なお母さんを助けながら、金融機関の関連会社に長く勤務していました。とても家族思いで、それもあってか、お母さんのもとを離れず、ずっと独身でした」
と直子さんの知人は話す。
数年前、母親が介護施設に入所してからは一人暮らしだった直子さん。高井容疑者の会社も含め、計約1億5千万円の生命保険がかけられていた。
「直子さんの保険加入をきっかけにして、高井容疑者は何度も高槻市の住宅を訪れて、取り入った。独り身の直子さんの将来を案じて、同情するようにして養子縁組の話をまとめたようだ。正式な養子縁組は、高井容疑者が保険会社を退職した後だった」(捜査関係者)
今年2月になって、直子さんの「不審死」が大きく報道され、養子となっていた高井容疑者に注目が集まった。
そのころ高井容疑者は、東京都港区の家賃数十万円のタワーマンションに住んでいた。
SNSには、若い女性とともに黒のランボルギーニの写真がアップされていた。それに乗って、ブランドの店に出かける様子もアップされ、豪勢なプライベートを謳歌(おうか)していたことがうかがえる。
高井容疑者は、関西学院大学が誇る名門のアメリカンフットボール部の出身。事件が発覚する直前までは、東京のアメリカンフットボールのクラブチームに所属し、週末にはプレーを楽しんでいた。
生命保険会社時代の同僚によれば、
「バブリーなヤツでしたね。ブランドもののスーツで身を固め、高そうな時計をして、上から目線でものを言う、お高くとまった感じですよ。たしかに営業成績はよかったけど、保険の解約率が高かったり、契約の取り方が強引だったり、説明を受けていないといったクレームも多かったりした。また、体育会系でかっこよかったので、それを武器に若い女性に言葉巧みに付け入り、契約させていたこともわかり、会社の調査が入りました」