日本基督教団 白河教会の竹迫之(たけさこ・いたる)牧師(55)は長年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)信者の「2世問題」に向き合い、地道に彼らのケアに取り組んできた。実は、竹迫さん自身も旧統一教会の元信者である。脱会時には兄弟姉妹のように親しかった仲間たちから「裏切り者」と見なされ、暴行や脅迫を受けた。恐るべき「霊感商法」が世間に知られるようになった1980年代半ば、旧統一教会はどのような活動を行っていたのか、竹迫さんに実体験を語ってもらった。
【1980年代に霊感商法追及キャンペーンをした「朝日ジャーナル」】
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竹迫さんは旧統一教会の信者の活動として「伝道活動」「経済活動」「政治家への支援活動」の3つを挙げる。
このうち、もっとも基本となるのが新規メンバーを獲得する「伝道活動」である。駅前など、路上で声をかけることから「路傍伝道」とも呼ばれる。
「信者が最初にやらされるのがこの勧誘活動です。例えば、アンケートと称して1日に200人、300人に声をかけさせる。そうすると、だんだん度胸がついてきて、誰とでも話せるようになる」
勧誘を行う信者は自分が旧統一教会に所属していることを固く口止めされている。あくまでも宗教とは無縁の団体への勧誘を装う。要は、騙して旧統一教会に引き込むわけだが、信者には罪の意識はまったくない。それどころか「尊い行いをしている」という使命感に満ちている。
竹迫さんもそんな一人だった。
路上での声かけだけでなく、友人にも「安い料金でビデオがたくさん見られる面白いサークルに入ったんだけど、いっしょに来ない?」と、電話をかけまくった。うそではなく、本当のことを言っているつもりだった。最終的に友人を含めて7人を「ビデオサークル」に入会させた。そこで「本当の仲間に出会ってほしい」という、善意の気持ちだった。
その結果、竹迫さん(当時は大学生)は「東京ブロック学生部門の伝道成績1位」で表彰された。とても誇らしい気持ちだった。
「霊感商法」にも携わった
竹迫さんは「ぼくは人と仲よくなって、誘い込むことが得意だと思っていた。ところが、『物売り』になっちゃった」と、振り返る。
この「物売り」というのが2つ目の「経済活動」である。