たかまつなな
たかまつなな

 何で(イギリスの元首相の)サッチャーがフォークランド諸島みたいな遠く離れた領土を守ったのか。それは、イギリスという国は、領土、領海、領空の主権を1ミクロンも譲らない、それを示すためだったと思います。日本は「無人島だったらあげるね」という国だと思われること自体がリスクなのです。日本の領土を狙っている国に対しては、日本は自分の国は死んでも守る国ですよ、ということを示さないといけない。尖閣諸島をやすやすと譲るようでは、南西諸島や沖縄もいけるかもと思わせてしまいます。

――その危機感をまだ感じられない人も多いんじゃないでしょうか。私も含めて。

松川:本当ですか。台湾に侵攻するときはたぶん台湾の背後に当たる与那国は攻撃されるでしょう。与那国が無力化できれば、そこを拠点に、東側から台湾を攻撃するでしょう。当然尖閣諸島も取られてしまう。与那国や宮古、石垣は日本の領土であり、実際に多くの日本人が住んでいます。それを失って本当にいいんですかと。

 今回のロシアによるウクライナ侵略で学ぶべきことの一つは、「言葉は信じてはダメ。信じるべきは行動」そして「独裁者は、常人の考えの上を行く」ということです。プーチン大統領は「別に領土は狙っていない」と言っていたじゃないですか。堂々と、侵攻する前日まで。でも関係なかったですよね。ウクライナ全土を狙っていたわけです。行動を見れば明らかだったわけですよ。北大西洋条約機構(NATO)加盟阻止が目的ではなくウクライナという国を属国にすることが目的だった。

 中国についても、台湾に対する軍事演習とか、いろんなものを見れば、やる気満々だと思いますよ。ただ、中国の戦略はロシアとは違って、できれば「戦わずして勝つ」だから、どんなに日米、台湾が頑張ってもかなわないという兵力を備えて、台湾自身が戦う気を喪失し中国の言うことを聞かせる戦略だと思います。

■“台湾有事”が起きるのは5年後?

――台湾有事の最悪のシナリオはどんなことが考えられますか?

松川:日本という国は海に囲まれています。エネルギーや食料をどうやって運んできているかというと、船と飛行機ですよね。船は全部、中国と台湾の間の台湾海峡か、台湾の東側のバシー海峡を通ってくるのが最短なんですよ。台湾が中国の領土になったら、ここを通すか、通さないかは中国の勝手だよ、となるわけです。もし日本が(中国に対して)気に入らないことをしたら、台湾海峡を封鎖しちゃうよ、と。そうなると、日本は生殺与奪の権を中国に握られることになるわけです。

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