イタリア人女性作家 ダーチャ・マライーニ作の名舞台『メアリー・ステュアート』が、6月13日~中谷美紀×神野三鈴主演で10年ぶりにパルコ劇場にて上演される。
“女”として果敢に生き、奔放ゆえに処刑されたメアリー・ステュアート と“国家”と結婚したヴァージン・クイーン エリザベス一世。同時代、一つの島に君臨した二人の女王の物語『メアリー・ステュアート』は、1990年から宮本亜門演出/麻実れい×白石加代子で上演を繰り返し、2005年には南果歩×原田美枝子によって公開された。そしてパルコ劇場では、今最も輝いている女優 中谷美紀と神野三鈴で10年ぶりに同作品を上演する。
◎メアリー・ステュアート/中谷美紀コメント
今回はステージの上にはたった二人だけですから、掛け合いの妙をお客様に楽しんでいただくためには、寸分の隙も許されません。大変な作品と出会ってしまったというのが今の正直な気持ちです。
女王というポジションは、われわれ市井の人間とは異なった特殊なもの。とはいえ、女性が人の上に立つということでいえば、会社を営んだり、あるいは部署を司ったりということで、彼女と同じ立場にいる女性も多いと思います。そしてその中で、自分の意志だけではなにも決められない、という経験のある方も少なくないのでは。そのもどかしさは、メアリーと現代の女性たちが共通して感じる部分だと思っています。
メアリーは、人の上に立つ者であるにもかかわらず、感情に流されやすく愚かな部分もあって、そこが魅力的でもある人物です。エリザベスのように冷静で、自制心をもって国を治める人間と異なり、彼女はその場の感情に流されている。その二人の対比を楽しんでいただきたいですし、対照的でありながら、ともに気高い女王たちの物語を全身全霊で演じたいと思っています。
◎エリザベス一世/神野三鈴コメント
中谷さんと一緒に二人芝居を、という話をいただき、しかもそれが『メアリー・ステュアート』。演劇史に残るような作品を、大好きな女優さんとご一緒できるなんて奇跡のようです。二人だけで、純粋に作品に取り組む環境を作っていただき、演劇を志した頃の夢が叶いました。
私たちはみんな、なにかの役割を演じて生きている。その中で常に選択をし続けなければいけないという部分があると思います。また、その選択に対する覚悟も求められる。この作品では、その一つひとつにもがき苦しむ人間の姿を描きたいですし、彼女たちが女性ゆえに豊かになれたこと、踏みにじられたことの両方が浮かび上がると思います。
また、エリザベスの人生を演じることで、彼女が抱くものを昇華させてあげられたら、それが、私たちすべての女性の中にあるなにかを昇華させることに繋がったらうれしい。
そして、女性ならではの苦しみや幸福、葛藤を一緒に感じていただければ。舞台という生身の人間が立つ場で、中谷さんと私が魂でぶつかり合う姿を見届けていただけたら幸せです。