北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表
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 21年前に愛子内親王が誕生されたとき、雅子妃(当時)がこれでようやく解放されたのだと思ったものだ。どれだけ学び、どれだけ努力しても、いったん皇室に入ってしまえば女性の役割は妊娠・出産、という身も蓋もない家父長制の本音を一気に背負った雅子妃の人生を、人ごとには思えなかった女性は少なくないだろう。結婚前の記者会見であれほど冗舌に、ユーモアたっぷりに自身の言葉で語っていた小和田雅子さんが「雅子妃」になるということは、言葉を奪われていく過程に見えた。その後、日本から出ることも許されず、適応障害の症状に長期間苦しまれることになる雅子妃には、痛ましさがどうしてもつきまとった。その雅子妃が人生をかけて産んだたった一人の娘、37歳で大変な思いをして産んだ娘が愛子内親王である、という事実も、長年“小和田雅子さんの人生”をハラハラとつらい思いで眺めてきた者たちからすると、問答無用に応援したくなってしまう存在なのかもしれない。

 少なくとも私は、愛子内親王の白馬とのツーショットを見てそんな思いになったのだと思う。成長されましたね、よかった、本当によかった、よかった! どうかこのまますくすくとご自身の道を歩いていただきたい。できれば天皇になってほしい。いや、ご本人がなりたくないならならなくていい、幸せに生きてほしい。「生きのびてくれて、ありがとう」という気持ちになったのだ。

 愛子内親王。日本の近現代史上初めて、時代の流れによっては、「天皇」という地位に最も近い場所に立つ女性。成年記者会見の言葉からは、愛子内親王にとって皇室は重荷ではなく家業のように受け継ぐもの、というような意思を感じたものだが、20代を今後どのように過ごされていくのだろう。とはいえ一般人であった小和田雅子さんが、はたから見るとかなり強引な流れで皇室に入っていかれたのと違い、その娘は、今までの慣習からすればほぼ強制的に一般男性と結婚する以外に生きる道はない状況でもある。その道を変える選択は、今後、皇室は取るのだろうか。女性天皇論、女系天皇論は、安倍政権によって軽々と潰されてきたが、改めてその議論がわき上がりつつある今、この国はどの道を選ぶだろうか。

 大変な運命の下に生まれた人、愛子内親王。皇室の女性たちからは、やはり目が離せない。

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