東海大学静岡キャンパス(静岡市清水区)に勤める非常勤の外国語講師5人が、来年3月で雇い止めになるのは不当だとして、12月5日と9日に授業を中断するストライキを決行した。大学側は廊下にカメラを設置してスト前の授業の様子を撮影するなど、ものものしい雰囲気に。実際にストライキをした非常勤講師に話を聞いた。
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「新型コロナの感染予防対策で教室のドアを開けているのですが、大学側から撮影者が3人来て、廊下に三脚を置いて、カメラでストライキ前の授業の一部始終を撮影していました。1人は無線を持っていて、いつでも通報できる態勢でいるようにみえたので、監視されているという圧力を感じました」
こう話すのは、実際にストに参加した外国語講師だ。
「事前に大学から、組合のことを授業中に話したら、『施設管理権の侵害になる、契約の不履行だ』と通告されていたので、不安げな表情を浮かべる学生に事情を説明することすらできませんでした」
この外国語講師は東海大で20年近く勤務してきたが、来年3月で契約を終了するとの通達を受けた。東海大教職員組合によると、静岡のみならず、札幌や湘南(神奈川県平塚市)のキャンパスに勤める多数の非常勤講師に対して、同様の雇い止めが起きているという。理系文系・担当分野を問わず、10~20年と長く勤務してきた講師が大半であるという。
講師らが個別あるいは団体交渉で大学側に説明を求めたところ、大学側は、継続できない理由として、「学生のため」「開講数の削減(現行72コマを2024年度に27コマ程度へと6割減)」「上から人員刷新を求められている」などの理由が語られるのみであったという。
この大学の説明に対して、講師らは「学生のため」という体裁を言い訳にし、雇い止めを強行しようとしていると主張する。
「6言語ある第二外国語のうち、韓国語とフランス語は講師の雇い止めにより、来年度から開講できなくなります。例えば韓国語はK-POPブームでこれまでにないほど履修する学生が増えているにもかかわらず、来年度以降に残る27コマのうち1コマもないのは不自然です」