この「衝突事故検出機能」の誤発信については、昨年11月末、消防庁とアップルジャパンとの間で話し合いの場が持たれた。

「この衝突事故検出機能はiPhone14で、デフォルト(初期設定)でオンになっており、通報先が119番なんですね。実際に人命救助に役立ったこともあることは承知しています。ただし、利用者がこの機能の存在をそもそも知らなかったり、設定でオフにできることも知らない方もいる。そのことをしっかり周知するといったことはできないかということはアップルに相談しました。アップルでは、まずは、アップデイトを実施し、精度を上げることで誤発信を減らそうとしているようです」(前出・消防庁防災情報室)

 iPhoneばかりではない。Androidでも誤発信が相次いでいる。

 警察庁は今年1月10日、昨年1月から11月までの110番通報受理件数が約850万件あったことを発表した。このうち「虚報・誤報」は約19万4000件と、前年同期比で約2万4000件も増加したという。

 この誤報については「110番通報を受理したものの、応答がないため、位置情報に基づき、警察官を臨場させたところ、操作をしていないにもかかわらず、ポケットに入れていたスマートフォンの緊急通報機能が作動し、誤って通報されたことが判明した」と報告している。警察側から昨年12月、大手携帯電話会社に対応要請したという。

 ドコモ広報室では、警察への誤通報というのは「iPhoneでは把握していませんが、Androidで把握しております」とした上で、こう話す。

「Android12以降を搭載したスマートフォンは、電源ボタンを5回以上すばやく押すと、緊急通報する機能があるんです。弊社内でも調査を実施し、設定方法のお知らせをホームページに掲載しました」

 利用者も機能を理解し、 対策を万全にしておきたいものだ。(AERAdot.編集部 上田耕司)

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
ヒッピー、ディスコ、パンク…70年代ファションのリバイバル熱が冷めない今