胃がんには、もうひとつ特徴的な転移の仕方があります。

 漿膜を越えたがん細胞が、種をまいたようにおなかの中に散らばり、おなかの臓器を包む腹膜に転移するもので「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」と呼ばれます。腹膜のあちこちに取りついたがん細胞は、それぞれの場所で大きくなり、腸を圧迫することもあれば、近くの臓器に広がることもあります。また、腹水といって、おなかに水がたまります。腹水の量が多くなると、おなかがふくらんで腹部膨満感、腹痛、息苦しさなどの症状が表れます。

 胃がんになっても、早い段階では症状がないことが多く、検診で見つかり驚く人が多いようです。

 しかし、なかには「みぞおちの違和感・痛み」「胃の不快感」「食欲がない」などの症状を感じる人もいます。進行すると、これらの症状が強くなるほか、「食べるときのつかえ感」「胸やけ」「吐き気」「胃の痛み」などの症状が出ることがあります。病巣から出血すると貧血になり顔色が悪くなったり、血液が混じって便が黒くなったりします。

 胃の病気としてよく知られているものに、胃炎や胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍があります。これらは、ピロリ菌、アルコール、ストレスなどの影響で胃の粘膜を保護する働きが低下することで起こり、症状は胃がんと同じように胃の不快感などです。胃潰瘍かもと思って受診したら、胃がんが見つかったということもあります。

■早期がん? 進行がん? さまざまな画像診断などで調べる

 胃がんが疑われた場合は、内視鏡検査で胃の内部の画像を映し出し、がんの大きさや深さなどを調べます。超音波を使って調べる超音波内視鏡検査が追加されることもあります。

 内視鏡検査では病巣を一部採取して、がんであるかどうか、細胞や組織がどんな特徴をもっているかなどを調べます。

 さらに、がんがリンパ節や周辺の臓器、離れた臓器に転移しているかを調べるCT検査、MRI検査、PET検査による画像診断や、大腸への広がりなどを調べる注腸検査、大腸内視鏡検査がおこなわれることもあります。 

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ステージや悪性度などで、推奨される治療法が異なる