伊藤潤二の世界観にどっぷりと浸れる、最新刊も並んだ店内のようす。(撮影/斎藤紫野 朝日新聞出版)
伊藤潤二の世界観にどっぷりと浸れる、最新刊も並んだ店内のようす。(撮影/斎藤紫野 朝日新聞出版)
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 赤と黒で統一された店内に掲げられた、美しい富江の顔と「不気味と美のすべて」という文字。現在、紀伊國屋書店新宿本店において、『不気味の穴 恐怖が生まれ出るところ』(朝日新聞出版)の発売を記念した、伊藤潤二書籍刊行記念フェアが開催されている。

■緻密な絵と奇想天外なストーリーが魅力の鬼才・伊藤潤二

 昨年、米国アイズナー賞で4度目の受賞を果たし、今年1月にフランスで開催された第50回アングレーム国際漫画祭では、特別栄誉賞を受賞したホラー界の鬼才・伊藤潤二の漫画は、国を越えて多くの人を惹きつけている。

 その魅力は、緻密に描かれた絵のインパクトと奇想天外なストーリー。そして何といっても「富江」や「四つ辻の美少年」など、性別の枠を超えた美しい登場人物たちの存在だ。

 以前の取材で伊藤先生が思わず「最初の富江は今よりも、ちょっと雑だったんです。でも、描いているうちにどんどん美人になっちゃって……」と話していたように、富江の美貌は男たちを虜にしていく。

■2027年に創立100年を迎える紀伊國屋書店新宿本店

 書籍やグッズの販売はもちろんのこと、伊藤先生の私物や原稿など、今回のフェアではファンでなくても垂涎の品が並ぶ紀伊國屋書店新宿本店は、1927年に創立した。

 田辺茂一が現在地(東京・新宿3丁目)に木造2階建ての書店事業を開始し、1964年には紀伊國屋ビルディングを竣工した。今では日本国内だけでなく、世界11カ国に事業所と店舗を展開する。

 2027年に創立100周年を迎えるが、2022年5月27日に「100周年のその先を見据えて」1階売場をリニューアル。その後も営業継続しながら各階を改装し、2023年1月2日に全館リニューアルを完了した。

■キャッチコピーは「紀伊國屋書店で待ち合わせ」

 ビル竣工当時から1階ひろばのシンボルであった柱をデジタルサイネージに改修し、また1階売場の正面や通り抜けの通路に面したガラスをすべて折り戸にして全開放できるようにした。その狙いを、紀伊國屋書店東京地区店売第一部長兼新宿本店長の星真一氏はこう話す。

「お客様を待ち続ける書店像を一新し、新宿の街に向かって開かれ情報を発信するメディアとしての書店を目指しています。1階リニューアルのキャッチコピーは“紀伊國屋書店で待ち合わせ”でした」

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