バスケは仲間とのコミュニケーションが不可欠です。練習や試合を重ねる中で、お互いに信頼し助け合うといった協調性も学び得るスポーツです。
仲間と一緒のとき、愛子さまは本当に楽しそうでした。練習や試合に真剣に向き合う一方で、休憩時間などは同世代の女の子と同じように笑いながらはしゃぎまわることもありました。
チームのメンバーとして試合に参加する愛子さまは、生き生きとして本当に楽しそうなのです。そのご様子をご両親にもぜひお見せしたかった。そこで、私は愛子さまと侍従に、「ぜひ、ご両親に試合に足を運んでいただけないでしょうか」とお伝えしました。すると早速、次の試合に、皇太子殿下であった陛下と、雅子さまが応援に見えたのです。
残念ながら愛子さまは、中学でバスケを続けることはありませんでした。
小学校卒業するときにバスケ部の子どもたちは、担当の先生やコーチにそれぞれ寄せ書きでメッセージを贈ってくれる慣習があります。コーチを務めた私も子どもたちからもらいました。
愛子さまは、きれいな文字でこんな内容のメッセージを寄せてくれました。
「中等科ではバスケは続けられないけれど、2年間ありがとうございました」
みんなまだ子どもです。照れ臭いのか「ありがとうございました」と一行だけの子も少なくない。その中で愛子さまは、きれいな文字で葉書大の分量ほどのメッセージを書いてくださったのです。かわいらしいシールやイラストを、文字の周りにちりばめてくれました。優しいご性格なのだなと感じました。
ご自身はすでにバスケ部ではありませんでしたが、筑波大学附属中学との交流試合で、かつてのチームメイトたちの応援に駆けつけることもありました。
愛子さまが2001年12月にお生まれになったとき、私は同級生とピンク色の蘭(らん)の花をお届けしました。
初めて愛子さまにお会いしたのは、陛下のサプライズによる機会でした。
恒例の我々同級生との年始の集いのことです。お出ましになった殿下(当時)の腕には、まだ赤ちゃんの愛子さまが抱かれていました。
私は、「浩宮殿下」であった陛下と少年時代を過ごし、お互いに63の年まで歳月を重ねてきました。その間に、愛子さまの成長を見守る機会にも恵まれたのは、感慨深い思い出です。
来春で学習院大学も卒業されます。愛子さまは、高等科時代の英国での短期留学をとても楽しまれたようです。ぜひ学習院大学ご卒業後も、ご両親のように海外留学などで広い視野や国際感覚を養って頂きたいと願っております。
(聞き手/AERA dot.編集部・永井貴子)