ヘッドホンからは徳永英明さんの「レイニーブルー」が、大音量で何度もリピートされるから、これもだんだんつらくなってくる。正直、頭がおかしくなりそうだった。でも、なぜか、ずっと聞いていると、最初はつらかったはずのレイニーブルーが、少しずつ心地よくなってくる(笑)。人間って不思議だよね。きっと、このままじゃほんとうに頭がおかしくなるから、脳が防衛本能で、無理やりそういう風に感じさせているんじゃないかなと思う。
眠気も、だんだん襲ってくる。気を抜くと、寝ちゃいそうになるから、足をグリグリつねって、眠気をごまかしたいけど、「動いちゃいけない」と指示されているから、それすらもできなかった。
ただ、時間が過ぎるのをひたすら待つしかないから、時に、「イーーー!!!」と大声で叫びたくなる衝動と、レイニーブルーでの眠気とが交互に襲ってきて、ほんとうに大変だった。天井から降ろされた時のボクの顔は、なぜかパンパンにむくんでいたよ(笑)。
もちろん、「水曜日」以外でも、大変なロケはたくさんあった。
肋骨(ろっこつ)にヒビが入っている状態で、ニュージーランドで、134メートルのバンジーに挑戦したこともあった。人生初のバンジーで、緊張と不安でドキドキしていたのに、ディレクターからは「テープが残り少ないから早く飛べ」と怒られ、勇気を出して急いで飛んだら、「もうちょいタメが欲しかった」と、また怒られた。
「最近、死人が出た」という、ザンビアでの急流下りも怖かった。ガイドの人に、川に落ちたら、流れの影響で数時間は浮かんではこられないと告げられ、「落ちたら終わりだ」と悟ったのを覚えている。
「日本一汚いトイレを掃除して、便器をなめることができたら100万円」みたいな、うそのようなチャレンジも、安田大サーカスの3人でやったことがある。トイレの場所は、たしか都内。入ってすぐの床に、いきなり排せつ物が落ちていて、「ここは日本なのか?」と、疑いたくなるような、ひどい環境だった。
そのトイレを半日かけて、頑張ってきれいにした。
途中、昼食に、カレーも出た……。ほんと、スタッフ頭おかしいよね。いちいち言葉にするのも嫌だけど、「うんちを食べている」ような感覚だったよ。
掃除が完了し、「誰が便器をなめるのか」となった時、団長もHIRO君もいるのに、なぜかボクがなめるハメになった。あの光景は、もう思い出したくない(笑)。