VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバー株式会社が、東証グロース市場への新規上場を承認され、話題となった(上場日は3月27日予定)。ここ数年、エンターテインメント・シーンで大きな話題を集めているVTuber。その存在感は、音楽業界にも波及している。
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メジャー1stアルバムを世界同時リリースしたMori Calliope、J-POPのヒットメーカー・亀田誠治のプロデュース楽曲でメジャーデビューを果たしたNornis、そして、最新アルバム『Specter』がBillboard JAPANダウンロード・アルバム・チャートで1位を獲得した星街すいせい。いずれも大人気のアーティストだが、「名前も知らない」という方も多いのではないだろうか。じつはこの3組、インターネットを中心に活動する“VTuberアーティスト”なのだ。
■ジャパン・カルチャーを象徴する存在に
「VTuber」とは「Virtual YouTuber(バーチャルユーチューバー)」の略。2Dもしくは3Dのアバター(キャラクター)を使って動画投稿や、ライブ配信を行っているYouTuberを指す。VTuberの草分け的な存在が、キズナアイだ。2016年から活動をスタートさせ、瞬く間に人気を獲得。日本政府観光局ニューヨーク事務所の訪日促進アンバサダーに就任するなど、ジャパン・カルチャーを象徴する存在となった。
キズナアイは2018年から音楽活動をスタート。これをきっかけにして、天神子兎音、YuNi、ときのそら、花譜といったVTuberアーティストが続々と登場し、“VTuberによる音楽シーン”が一気に広がった。
その後は楽曲の配信だけではなく、AR(拡張現実)の技術を使用したリアルライブやイベントなども頻繁に開催されるようになり、多くのファンを獲得。2022年には花譜がVTuberアーティストとして初めて日本武道館ライブを成功させたことも、このシーンの充実ぶりを印象づけた。