多賀さんによると、英国の王室は国民から権威や権力と見なされているため、常に批判の対象として報道されるという。
もう一つは、「厳しい警備や、観覧のために通過しなければならなかった徹底した身体や荷物の検査」だ。過剰な警備は皇室と国民との間に距離を生む一因にもなる。
実際、沿道は厳戒態勢が敷かれ、全国から集められた警察官ら2万6千人が警備にあたった。観覧者用のブースに入るためには手荷物検査を受けなければならず、計40カ所で金属探知機による身体検査があった。各地から詰めかけた11万9千人の中には、時間切れで検査を通れず、車列を見ることができなかった人たちも少なくなかった。
大阪から上京してきた女性(52)は言う。
「皇室行事を見るのは初めて。手荷物検査が終わって誘導されるがままに来たら、まったく見えなくてがっかりした。頭上に掲げたスマホに少し写っていただけでした」
(編集部・福井しほ、小田健司)
※AERA 2019年11月25日号