民主党のペロシ下院議長(右)とトランプ大統領。トランプ氏は通話記録を公表したが、民主党側は疑惑が深まったと判断、ペロシ氏は弾劾調査を進める意向を示した (c)朝日新聞社
民主党のペロシ下院議長(右)とトランプ大統領。トランプ氏は通話記録を公表したが、民主党側は疑惑が深まったと判断、ペロシ氏は弾劾調査を進める意向を示した (c)朝日新聞社
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 ロシアゲートをはじめ、数々の疑惑をかわしてきたトランプ大統領だが、ついに大統領罷免の可能性がある弾劾調査が始まった。AERA 2019年10月14日号に掲載された記事を紹介する。

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 「これは弾劾ではなく、クーデターだ」「市民の力、投票権、自由、銃を保有する権利、宗教、神が与えたアメリカ合衆国市民の権利を奪うクーデターだ」

 10月1日、トランプ氏は民主党による自身の弾劾調査についてこうツイートをした。だが、事件は早くも「ウクライナゲート」と呼ばれ、調査は驚異的なスピードで進んでいる。

 発端は、米中央情報局(CIA)職員とされる内部告発者が、監察総監にあてた文書だ。今年7月25日、トランプ氏がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話会談した際、民主党のジョー・バイデン氏と息子のハンター氏について調査を依頼したと報告している。

 バイデン氏は2020年大統領選における民主党の有力候補だ。副大統領だった15年、ウクライナの検事総長が汚職捜査に消極的だとして解任を求めたが、それはバイデン氏の息子が役員を務める同国のガス会社が検察の捜査対象になっていたためだと、トランプ陣営は問題視していた。トランプ氏は国内の政敵への攻撃材料を、外国政府に探させていた格好になる。

 この電話会談の1週間ほど前、トランプ氏はウクライナへの軍事的な支援を保留するよう指示していたが、9月に入って2億5千万ドル(約269億円)の提供を決めた。支援の見返りにバイデン氏の調査を依頼した疑いがもたれ、トランプ氏の行動は「法律に抵触もしくは違反した」と内部告発書は指摘している。

 合衆国憲法では、大統領が「反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪」を犯した場合、下院の過半数の賛成で訴追され、上院で弾劾裁判を起こすことができる。そこで3分の2以上の多数で有罪が確定すれば、大統領は罷免、つまりホワイトハウスから追放される。その場合、トランプ氏は米国史上初めて弾劾罷免される大統領になる。

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