「夜12時に寝る人なら6時か7時ごろに軽く何かをつまみ、家に帰ってから食べる夕食の量を少なくする。これで夜型化を防ぐことができます」(柴田教授)
早い人なら3日、普通の人は1週間ほどで、体内時計の変化を実感できるようになるという。
IT企業に勤務するシステムエンジニアの男性(40)の帰宅は早くても午後9時過ぎ。午前様になることもたびたびだった。以前は妻が作ってくれた夕食を帰宅後に一人で食べていたが、「遅くなる時は社員食堂で食べる」と割り切り、夜7時にはとることにした。帰宅したら風呂に入って寝るだけだ。
すると目覚めがよくなり、翌朝自然と食欲がわくようになってきた。夜中に食べていたころは朝食も食べなかったが、今は朝食が家族団欒の時間になっている。標準をややオーバーしていた体重は減り、体も軽い。
「仕事のパフォーマンスは明らかに向上し、限りある時間を効率的に使えるようになりました。妻も夕食に気を使わなくて済むようになったと喜んでいます」
では、どうしても3食とれない場合はどうしたらよいか。国際医療福祉大学病院外科教授の吉田昌医師(57)は、日々集中力が欠かせない緻密な手術や検査をこなしているが、日中は手術が長引いたり緊急の処置が入ったりで、きちんとした食事がとれないことも多い。
「集中力を保つためにエネルギー補給は必要。素早くとれるものを持ち歩いています」
とくに4時間以上の集中が必要な時はチョコレートを少しとコーヒーを選んでいるという。
「脂質をエネルギー源とした場合、血糖値が4時間後に上昇することが根拠です。チョコレートの場合、糖分と脂質をとれるので、直後から4時間以上の集中を支えてくれます」
吉田医師の場合、「ここぞ」というときの栄養補給を見越して、ふだんの食事は脂質量を制限し、軽度のカロリー不足をベースにした食生活をしている。
牧田医師も間食としてナッツやチョコレートを薦めている。
「ナッツは糖質が少なく、食物繊維や不飽和脂肪酸など、体にいい成分が詰まっている。チョコレートの原料であるカカオはポリフェノールの塊で、非常に強い抗酸化作用を持っている。ただし、カカオ含有量の低いチョコレートは、糖質と脂肪の割合が高い。カカオ含有量70%以上のものを選んでください」
(ライター・熊谷わこ)
※AERA 2019年10月7日号