「日々生じるズレを修正するために有効な体内時計リセット法は二つ。一つは朝起きたら日光を浴びること。もう一つは起床2時間以内に朝食をとること。特に糖質をとることが重要です」

 糖質をとるとインスリンが分泌され、時計遺伝子が働いて体内時計がリセットされる。ただし、糖質ならなんでもよいというわけではない。

「よく果物はダメですかと聞かれますが、果糖(フルクトース)はインスリンの分泌を促進しません。リセットにはご飯やパンなどの炭水化物が必要です」

 さらにたんぱく質をとると、主に肝臓でIGF‐1というインスリンに似た物質が分泌され、リセット効果を発揮する。

「たんぱく質は、筋力アップのためにも必要です。とくに朝のたんぱく質が足りていない人が多い。私たちの研究でも、朝、たんぱく質をとる方が夜とるよりも筋肉が増えることがわかっています」

 脂質をとる場合は、魚油が最も効果的で、中でもマグロに含まれる油が効率的に体内時計を調整できる。朝食でとるなら、ツナ缶がお手頃だ。

 血糖値、体内時計の両面から理想的な食事を考えると次のようになる。

(1)3食食べる
(2)朝食は多め、夕食は少なめ
(3)朝食は起床後2時間以内、夕食は寝る4時間以上前
(4)野菜→たんぱく質→糖質の順に食べる
(5)ゆっくりよく噛んで食べる

 柴田教授によると、1日の食事の理想的な比率は朝4昼3夕3。難しい場合はせめて朝3昼3夕4くらいにしたい。

「夜、もう一つ唐揚げを食べたいと思ったら冷蔵庫に入れて翌朝食べてください」(柴田教授)

 牧田医師は、糖質は朝食と昼食でとり、夜はご飯や麺などの主食を食べないくらいでちょうどいいと語る。

「糖質摂取量の割合を朝5昼5夜0にするぐらいの気持ちで、ようやく朝3昼5夜2ぐらいになるでしょう」(牧田医師)

 朝はご飯やパンなどの糖質にプラスして、卵や納豆、魚、豆腐、牛乳などでたんぱく質をプラスする。忙しければコンビニで買った鮭のおにぎりやツナサンドでもいい。

「いきなり糖質をとるのではなく、サラダやみそ汁などを先に食べることで、血糖値の急激な上昇を抑えられる。早食いも血糖値を急上昇させます。同じものでもゆっくりよく噛んで食べるだけで、血糖値の上昇をゆるやかにできます」(同)

 カフェインは覚醒作用で知られるが、柴田教授によると体内時計をリセットする効果もあるという。朝食に日本茶やコーヒー、紅茶を加えれば、いいスタートが切れそうだ。ただし、夕方以降は控えたほうがいい。

 遅い時間に夕食をとると、体内時計は夜型にシフトするうえ、食べてすぐ寝ると消化不良を起こす。糖質も消費されずにため込まれ、肥満につながる。夕食は寝る4時間以上前にすませるのが理想だ。とはいえ残業などで難しい人も多いだろう。そこで柴田教授が勧めるのが「分食」だ。

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