本来ならば、落ちているきれいな葉っぱだけを集めて作業を進めるのが理想的です。しかし、より多くの種類の葉っぱを調査するためには、木から生きている葉っぱを取らざるを得ない場面が出てくるはずです。
我々はこの行為自体が探究堂の約束事である「ものを大切にする」に反していることを自覚しなければなりません。
その上で、申し訳ない気持ちを持ちながら、必要最小限の枚数に留めておくことを徹底します。
採集する葉っぱは1本の木につき2枚に限定しました。
1枚は押し葉にした後、ラミネート加工を行い、採集データとして保管します。もう1枚はフロッタージュ(こすり出し)用として、葉っぱの特徴をつかむために活用します。
初回の授業では近所にある大きな公園に移動し、練習も兼ねて、採集活動を行いました。
「モミジの葉っぱまだ青いなあ」
「見て見て、葉っぱの周りがめっちゃトゲトゲしてるで!」
「マツだけ葉っぱの形が全然違うやん」
実質20分程度の作業でしたが、それでも何種類もの葉っぱを発見することができ、子どもたちは大変満足げです。
教室に戻ってからは、拾ってきた葉っぱを使って、フロッタージュを行いました。
葉っぱの上にコピー用紙を置き、色鉛筆を少し斜めに倒してこすると、全体の形だけでなく、葉縁や葉脈の様子が浮かび上がってきます。
フロッタージュの作品の中で特に印象に残ったのはイチョウの葉っぱです。
他に比べて凹凸が少ないように思えたのですが、いざこすり出しをしてみると、思いのほかその特徴がはっきりわかります。
「家に持って帰って、(フロッタージュの)続きをやろかなあ」
小1のT君はこの作業がとってもお気に入りの様子。
「葉っぱの不思議を解き明かそう!」を合言葉に、小さな植物博士たちの探究がスタートしました。
※AERAオンライン限定記事
○山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。