等身大の自画像づくりは輪郭から
等身大の自画像づくりは輪郭から
等身大自画像を描く子どもたち
等身大自画像を描く子どもたち

 たくらみ低学年クラス(小学1・2年生)が取り組んできた「自分を知る」プロジェクトもいよいよ佳境に入りました。

【子どもたちが描いた等身大自画像はこちら】

「『自分らしさ』って聞くと、どんなことを思い浮かべる?」

 私からの不意の問いかけに、子どもたちは戸惑いの表情を浮かべます。中には質問の意味をすぐには理解できず、ポカーンとしている子も。

 これまで自分の外見的な特徴や内面的な特徴、自分も知らない自分のこと(お母さんのおなかにいたときや赤ちゃんのときのこと)を調べてきましたが、改めて「自分らしさとは」と問われると答えに困る様子が見えます。

 しかし、昨年度に比べて粘り強く考え続ける姿勢が出てきた彼らですので、教室に沈黙が続くことはありません。

「うーーん、やさしいところかなあ……」

 ある女の子がぼそっとつぶやきました。

「性格に自分らしさが表れてるってこと?」と聞くと、こくりとうなずきます。今回のプロジェクトを通じて再発見した内面的な特徴に自分らしさを見いだしたようです。

 この発言を皮切りにぽつりぽつり意見が挙がり始めました。

「休みの日に必ず一回は魚取りするところやと思う」

「なんで、そんなにしょっちゅう魚取りをしてんの?」と質問する私。

「えっとねぇ、それは魚の研究者になりたいから!」

 普段から家の近くの川で生き物探しをしているこの男の子は自分の行動が未来につながることを確信しているようです。

 きっと将来の夢や目標にも自分らしさがにじみ出るものなのでしょう。

「暇さえあれば本を読んでるわ」

 クラスには読書好きが多いようで、「私も私も」と賛同する声が続出します。

「やることがあっても本を読んじゃうねんなあ」と学校の宿題をついつい後回しにしてしまいがちな事実を正直に告白する子もいます。

「僕も本好きやけど、自分でもオリジナルの本を作ってんねん」

「本」というキーワード一つとっても、作品の世界観に没頭する楽しみもあれば、物語を創作する楽しみもあります。

 話を掘り下げて聞くと、それぞれの個性の違いが浮き彫りになっていきます。

 探究堂キッズの中には習い事でスイミングスクールに通っている子も何人かいます。

「クロールとか平泳ぎで泳げるよう頑張ってるで。諦めずにチャレンジするところが自分らしさかも」

 いつも元気いっぱいの2年生の男の子が答えると、それに呼応するように別の子がこう返しました。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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男の子がスイミングに通う「正直すぎる理由」とは?