「僕は『お金(月謝)がもったいない』とお母さんに言われるから行ってんねん」

 正直すぎる意見にクラスメートだけではなく、授業を見学していた大人たちからも笑いがこぼれます。

 とは言え、本人も受け身でやる気がないわけではないのが興味深いところです。自ら志願して大会に出場した話を保護者の方からも伺っており、スクールに行ったら行ったで負けず嫌いな一面が顔を出すようです。
 
「みんなが良いというものを選ばないところかな」

 2年生のKちゃんは自分らしさを独特な表現でこう語ってくれました。さらに詳しく尋ねると、みんながみんな同じことをしたり、同じものを選んだりするのはあまり面白くないので、あえてみんなと違うことをやりたいとのこと。

 私はこの発言を聞いたとき、彼女が2年前に探究堂に入塾した当初のことを思い出していました。授業中に周りの子がしていることが気になり、何度も手が止まってしまう場面がよく見られたからです。

 それが今となっては、マイペースで周りに流されない印象にすっかり変貌を遂げています。その背景には彼女なりの論理が存在することを初めて知りました。自分らしさもまた変わり続けるものなのかもしれません。

 本プロジェクトでは、発表会に向けた最終成果物として、等身大自画像を制作することにしました。

 自分らしいポーズをそれぞれ考え、実際に画用紙の上に寝転がり、私がその輪郭を描きます。

 躍動感があふれるもの、嬉しさを体いっぱいで表したもの、あえて派手なポーズを取らず自然体で臨んだもの……。いずれも個性が発揮されており、プロジェクトの締めくくりにふさわしい内容になったのではないかと思います。

 子どもたちはクレパスでの色塗りに苦戦しながらも、限りある時間の中で集中して等身大自画像を制作していました。

 2カ月にわたり取り組んできた「自分を知る」プロジェクト、残すはプロジェクト発表会のみです。

AERAオンライン限定記事

○山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも