日本が戦後築き上げてきた「絶対に力を頼った反撃はしない」という伝統をひっくり返したのにこの結果には驚きです。特に財界、産業界から反対が出てこないのはどうしたことか? こんなことが自由貿易にいい影響を与えるはずがなく、さらに言えば韓国は年2兆円もの貿易黒字をコンスタントに頂いている有り難いお得意さんなわけで、反論が出てきて然るべし、と思うのですが、沈黙を続けています。安倍さんが怖いのか?
それに朝日。朝日は過去の経緯、立ち位置から言って、いの一番に反論はともかく、問題提起をするべきなんじゃないでしょうか。しかし、今回はこれはいかん、という声が全く聞こえない。しれっ、と知らない顔をして通過している。朝日のリベラルという伝統はこんなに簡単に捨てられるのか。それとも同様に安倍さんを恐れているのか。
だから私が書くんです。賛成反対、こうすべきだ、と言うつもりはありません。しかし、この問題を何も議論しないでパスしてしまっては戦後の日本がやろうとしてきたことはなんだったのか、と非常に強く思うとともに、この世論の流れに得も言われぬ危機を感じるわけです。みなさん、韓国だからいいだろう……と思考停止してませんか?
※AERA 2019年7月22日号