「ひゃっ、冷たっ!」
網を片手におそるおそる足を川の淀みに入れていきます。ひんやりとした水の感覚に包まれ、子どもたちは何ともくすぐったいような表情を浮かべます。
水中では小さな魚が気持ちよさそうに泳いでいました。水面にはたくさんのアメンボが見られます。ぷれりかキッズは一生懸命網を振り回しますが、そう簡単に捕まってくれるはずもありません。
しばらくの間、それぞれ思い思いの場所で水生生物を探していると、ある保護者の方が大きな声で私を呼びました。
「文さん、アメンボを捕まえました!」
アメンボは網の中でも元気よく跳びはねていました。せっかく捕まえたものを逃さないように、手で網を押さえながらそっとバケツに入れます。
「私にも見せて!見せて!」
バケツの中を興味深そうにのぞき込む子どもたち。
絶対に自分も捕まえたいという気持ちに拍車がかかったようです。彼女らは水中で網を振り回していても埒が明かないと判断し、大人のやり方を真似て川岸の茂みを重点的に探し始めます。
「あっ、網になんか入ってる!!」
茂みに網を突っ込みガサガサしていたある女の子がふと何かに気づきました。網の中には一匹の真っ黒なヌマエビがいたのです。バケツに放したヌマエビは所狭しと勢いよく泳ぎ回ります。嬉しい気持ちをじんわり噛み締めるようにその姿を眺める女の子の表情がとても印象的でした。
結局のところ初回の調査では、スジエビ、ヌマエビ、名前のわからない小魚、アメンボ、ハグロトンボの幼虫、シマビルを捕まえることができました。
我らが水生生物調査隊はまずまずの滑り出しを切ったと言えるでしょう。
プロジェクト2日目となる翌週の授業では私たちが予想もしなかった展開が待ち受けていました。
前日の天気予報では「終日雨」となっており、当初は室内でのアクティビティーを予定していました。しかし、いざ当日を迎えると、空一面雲で覆われていましたが、天気はぎりぎり持ちこたえていたのです。
そこでこの日は生き物探しよりもむしろ新しい採集スポットの開拓を主目的にして、鴨川へ出かけることにしました。
作業場所を選ぶ観点としては、子どもたちが安全に作業できることや、虫や魚がすみ着きやすい場所であることが欠かせません。私たちは川辺を歩いて探索したものの、いつもの採集スポットに比べると流れが速すぎたり水深が深すぎたり(逆に浅すぎたり)して、なかなか良い場所を見つけることができませんでした。