おいしいお店も電車の遅延情報もSNSで検索するこの時代。ソーシャルメディアは情報を共有するだけのツールではなくなった。SNSは人と人とのつながりをどう変えるのか。
【写真】HKT48の元メンバーで若い女性から絶大な支持を受けているゆうこすさん
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コミュニケーションの形も変わりつつある。友人同士でコメントしあうミクシィやフェイスブックと異なり、ユーチューブやインスタグラムは「1対n」の関係になりやすいとSNSマーケティングを手がける「ガイアックス」のソーシャルメディアマーケティング事業部の重枝義樹副部長は言う。双方向ではなく、一方向に近い状態。両者に共通するのは動画や画像を投稿するハードルの高さだ。みなが夢中になれる動画も、思わず「いいね」を押したくなる写真も、そう簡単には撮ることはできない。イケている投稿をする“スター”に注目が集まりやすいのだ。
SNSの在り方そのものにも、変化が起きている。世界中とつながれるSNSだが、最近クローズドの傾向が出ていると重枝さんは言う。
「インスタでは友人同士のコミュニケーションもありますが、実は盛んなのはダイレクトメッセージ(DM)です。ストーリーズへのリアクションも、いいなと思うコンテンツも、全部DM内で共有する仕組みになっているんです」(重枝さん)
オープンに投稿された画像や動画を見て、後のやり取りは内側にこもって行う。この流れは、インスタグラムだけではない。17年、マーク・ザッカーバーグが掲げていたフェイスブックのミッション「世界をよりオープンにし、つながったものにする」を、「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」に変更したのも時代に合った流れだったのだ。
「世界の潮流として、オープンなソーシャルメディアは頭打ちになっています。そこでプラットフォーマーたちはメッセンジャーツールに注目し始めました。ソーシャルメディアというと、広い社会が一つあると考えられていましたが、今後は『社会はたくさんあるけれど、それぞれはつながっていない』というふうになるでしょう」(重枝さん)