さらに、誰もがSNSのアカウントを持ち、個人発信できるようになった現代では、「つながっているのに孤独」という若者も増えている。ツイッターで人気のハッシュタグ「○○好きな人とつながりたい」も、孤独感の表れかもしれない。
HKT48の元メンバーで、インフルエンサーとして若い女性から絶大な支持を受けている「ゆうこす」こと菅本裕子さん(25)は言う。
「ミクシィやモバゲーが盛んだったころは、『中学2年生集まれ』『○○好きの人集合』といったコミュニティがあって、そこに入っていくだけでよかった。今はハッシュタグでつながったとしても、自分から声を掛けなければいけないし、1対1が基本なので、苦手な人は入っていけません」(ゆうこすさん)
だからこそ、ミクシィのコミュニティのような存在が必要だと感じている。
「フェイスブックがコミュニティ機能を強化すると聞いて、時代は回るというか、どんどん高次に上がっていくんだなって感じています」(ゆうこすさん)
検索や「いいね」の頻度に応じて変動する「アルゴリズム」の存在も大きい。フェイスブックなどで特定の友人の投稿ばかり表示されることもあるが、これはユーザーが好むであろう「より良い情報」をプラットフォーム側が提供した結果。つまり一方的に排除されている情報もある。膨大な情報が流れるSNSにおいては便利に思えるが、前出の重枝さんは言う。
「アルゴリズムが悪いと判断したものを排除することを『フィルターバブル』と言います。自分の心地よい空間を作ることは大切ですし、アルゴリズムがなければノイズだらけになってしまうでしょう。ただ、皆が見たいものしか見なくなるので、その結果として、社会はどんどん分断されていくでしょう」(重枝さん)
検索して、自分の意思で情報を取りにいったつもりが、いつの間にか「好み」を読み取られ、アルゴリズムに踊らされる。偏食ばかりを続けると健康を損なうのと同じように、好きな情報ばかりを摂取すると、いつの間にか価値観が凝り固まって思考停止に陥る危険さえある。(編集部・福井しほ)
※AERA 2019年6月10日号より抜粋