大学時代から大山さんには自分の能力や時間を、ひとつの会社のためだけに使う選択肢はなかった。安定よりも自分らしく生きることを優先したのだ。大山さんは現在も出身大学に籍を置き、哲学の研究を続けている。仕事が他にあることで研究の分野で経済的にも思想的にも自由が保てるという利点もある。
「大学の授業も教えるというより、学生と課題を共有しながら一緒に考えたいという思いが強い。すぐに答えがでない哲学という学問と長く向き合うために、本業を持ちながら並行して研究を続ける現在のスタイルが自分らしいと思っています」
大山さんのように計画的に時間をかけたいものを二つ目、三つ目の仕事とするのは、自身のライフスタイルを見つめ直すいいきっかけにもなる。(編集部・中原一歩)
※AERA 2019年5月20日号より抜粋
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