4月14日、地元サウスベンド市での演説を終えると、ブティジェッジ氏(右)は同性婚のパートナーであるチャスティン氏とともに聴衆の歓声に応えた (c)朝日新聞社
4月14日、地元サウスベンド市での演説を終えると、ブティジェッジ氏(右)は同性婚のパートナーであるチャスティン氏とともに聴衆の歓声に応えた (c)朝日新聞社

「ピート市長」とファーストネームで呼ばれる。人口約10万人のサウスベンド市長、ピート・ブティジェッジ氏が、2020年大統領選の候補者として存在感を増している。

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「私は、大胆さ(オーダシティ)というのを尊敬しています」

 ピート・ブティジェッジ氏(37)が選挙集会で笑顔でこう言うと、「おっ」という感じの拍手がわき起こった。バラク・オバマ前大統領が書いたベストセラー『オーダシティ・オブ・ホープ(邦題「合衆国再生 大いなる希望を抱いて」)』とイメージが重なったからだ。

 4月14日、ブティジェッジ氏は地元・インディアナ州サウスベンド市の市民6千人以上の前で、2020年の大統領選挙への立候補を正式表明した。もし彼が当選すれば、史上最年少、初の市長からの当選で、同性愛者であることを公表している初の大統領となる。デートアプリで出会ったパートナーとは18年に結婚、選挙集会では夫として紹介し、キスを交わした。

 年末年始にかけ、民主党では「我こそは」という十数人が候補者指名争いに名乗りをあげた。ブティジェッジ氏も1月下旬に大統領選に挑戦する意思を示したが、サウスベンド市の市長である彼は、全国的には無名の存在だった。だが、全米中継された3月のテレビ対話集会でのスマートなやりとりが好感をもたれ、注目を集める。ハーバード大と英オックスフォード大に学び、フランス語、スペイン語、アラビア語など七つの外国語を習得、市内のオーケストラとソロピアノで共演した音楽家でもある。同性婚を公表していることから、民主党内の中道派からは多少の逆風があるかと思われたが、日々その存在感を増している。

 選挙資金の集金高では、新人としては異例の16人中4位(ニューヨーク・タイムズまとめ)。また、予備選がいち早く行われることから大きな影響力を持つとされるアイオワ州とニューハンプシャー州の世論調査では、ジョー・バイデン前副大統領(76)、バーニー・サンダース上院議員(77)に続く3位となって党関係者を驚かせたと、米メディアは報じている。

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