

「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
* * *
天皇陛下の生前退位を前に、4月1日に新元号が公表されました。これまでの改元では、悲しみ、喪に服す雰囲気がありました。今回は天皇、皇后両陛下もご健在で、皇太子さまと新しい時代を歩んでいくのだとワクワクしました。
「令和」という元号、いいなと思いました。言葉の出典となった万葉集には貴族だけでなく、市井の人々の歌も詠まれています。日本では古来、三十一文字で心を通わせ、喜びや悲しみ、恋愛感情を表現してきました。序文では咲き誇る梅の花の様子を詠んでいますが、花一つを見ても、誰一人として同じことを感じる人はいない。日本の文化を大事にしながらも、ダイバーシティーを意識して、新しい価値観が生まれる、そんな時代になる気がしました。
いまは第4次産業革命の動きもあり、私たちのビジネスモデルも時代の大きなうねりの中にいます。「新しい時代に進もう」と思っていたところに改元があり、首相や官房長官による「日本人の生活の中に深く根差していく」というコメントもありました。おこがましいかもしれませんが、ローソンも人々の生活に深く根差して「なくてはならない存在」であり続けるために、令和という時代の中で大きく変化を遂げていきたいと考えています。
ちょうど入社式直後の写真撮影中に発表があり、取材の後、記者の方のスマホを囲み、新入社員のみなさんとその瞬間をともにしたのも、感慨深かった。新しい時代に一丸となって向かっていける、「ともに頑張ろう」という気持ちが強まりました。今年の新入社員は男女比もほぼ半々で、留学生や現地採用した国際社員は約13%です。いろんな価値観を良しとして、さらに新しいものを生み出していきたい。
万葉の時代の思いを受け継ぎながら、変化を積み重ねて、新しい時代に入っていきたいですね。
※AERA 2019年4月22日号