Sansan/全社員の約3割が電動昇降型のスタンディングデスクを利用。「肩こりや腰痛も減りました」(同社)。立って仕事をしているのが、エンジニアの石畑翔平さん(撮影/写真部・小山幸佑)
Sansan/全社員の約3割が電動昇降型のスタンディングデスクを利用。「肩こりや腰痛も減りました」(同社)。立って仕事をしているのが、エンジニアの石畑翔平さん(撮影/写真部・小山幸佑)
座り過ぎ防止3カ条(AERA 2019年4月8日号より)
座り過ぎ防止3カ条(AERA 2019年4月8日号より)

 座り過ぎによる死亡や、がんのリスクを減らすにはどうすればいいのか。

【座り過ぎを防止する!3カ条はこちら】

『「座りすぎ」が寿命を縮める』(大修館書店)などの著書もある早稲田大学の岡浩一朗教授(健康行動科学)に「座り過ぎ防止の3カ条」を挙げてもらった(表参照)。

 大切なことは、「筋肉にスイッチを入れること」とアドバイスする。

「そのためにはまずは立って少し動くことです」

 理想的なのは30分に1度、難しければ1時間に1度立ち上がるだけでいい。「座る→立つ」と少し姿勢を変えることで、座り過ぎによるリスクはある程度軽減できるという。

「太ももやふくらはぎなど足の筋肉に収縮が起き、糖の取り込みや脂肪の分解が良くなります。また、体じゅうの血液が勢いよくめぐり出し、脳の血流もよくなる。そして、頭が冴える感覚がやってきます」(岡教授)

 ただ、仕事上、どうしても立ち上がって動くのが難しいという人も少なくない。

「そうした人は、座ったままの状態でかかとの上げ下げ運動をしたり、足を伸ばし爪先を天井に向けて上下することを心がけてください。また、貧乏ゆすりのような動作でも血流がよくなり、座り過ぎによる弊害を少しでも防ぐ可能性があります」(同)

 オランダで行われた大規模な疫学研究では、仕事中の座位時間が1日6~8時間の男性は、12時間以上の男性に比べ、結腸がんのリスクが37%も低いという報告もある。足の筋肉が動けば血が巡って代謝がよくなる。がんだけでなく、動脈硬化による心筋梗塞や脳卒中などの生活習慣病のリスクも下げることが考えられるのだ。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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