映画「ボヘミアン・ラプソディ」が米国アカデミー賞でも話題となったクイーン。その魅力は若く新しい世代にも浸透し、現在進行形でレジェンドは拡大中だ。
【シマあつこさんが、昨年末に自費出版したフレディに捧ぐ新作の一部はこちら】
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クイーンには、曲に魅了されるだけでなく、創作意欲をかき立てる魔力がある。1970~80年代洋楽ロックのミュージシャンをキャラクターにギャグ漫画を描き続けているシマあつこさん(61)にとって、フレディ・マーキュリーは別格だ。
「あの頃のロックスターたちは、私が破天荒な漫画を描いても、はるか上を行く行動をしていました。フレディはそのトップランナー。彼は自由に想像の翼を広げていいんだよと励ましてくれる存在です」(シマさん)
イラストレーターの奈央キミコさん(28)も、映画の鑑賞後、いてもたってもいられず、メンバーの似顔絵や感激した気持ちを漫画に描き、ツイッターに投稿して注目された。
「クイーンは全員が個性的で魅力にあふれ、今、曲を聴いても色あせることなく、新鮮です。映画も言葉の壁を越えて伝わっているものがあり、彼らの魂を感じて胸が熱くなりました」(奈央さん)
千葉県の中学3年生の男性は、映画をきっかけにクイーンに目覚めた。
「今まで聴いたことないリズムや感動的な詞だったんです。もっと曲を聴きたくて、すぐにアルバム『グレイテスト・ヒッツ』を買いました」(男性)
母は80年代洋楽ロック世代だが、好きだったのはボン・ジョヴィ。クイーンはあまり聴いていなかった。しかし、最近は彼の影響でクイーンもよく聴いているという。
石原安浩さん(52)は2004年、ロンドンのパブで現地の人からフレディの笑いを誘うエピソードを聞き、クイーンに興味を持った。彼らが語るフレディ像に愛を感じたからだ。
「ボヘミアン・ラプソディのPVを観たとき、心に突き刺さりました。笑いとネタで作られた光とともに影絵のような孤独がある。陰陽のように相反するものを包み込む姿を美しいと感じたのは初めて」(石原さん)