竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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ロピックで人気のミールキットは、家事の時短にも役立っています
ロピックで人気のミールキットは、家事の時短にも役立っています

「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 昨年3月、スマホで朝8時までに注文した商品を、当日の夕方(最短で14時以降)に店舗で受け取れるローソンフレッシュピック(ロピック)を始めました。ご好評頂けたこともあり、対象店舗、地域をどんどん拡大させています。

 スタート時は東京都世田谷区、渋谷区、川崎市、横浜市の約200店でしたが、昨年11月には1600店にまで拡大させました。商品数も600種類まで増やし、ローソンでは買えない成城石井や専門店などの食品や、簡単に調理ができるミールキットの種類を増やすなど、ラインアップの充実を図りました。

 注文した商品を店舗に取りに行くロピックは、届くまで自宅で待つ宅配に比べて時間のロスが少ないので、忙しい現役世代にはぴったり。店舗に来て頂くことで、ローソンで買えるものは店舗、買えないものはロピックで買うという相乗効果も期待できます。

 配送は既存の流通網がそのまま使えるので、物流への投資が必要ありません。配送コストが上昇している今、これは大きなメリットで、その分をほかのサービス向上に転化できる。つまり、発注システムの向上やエリア、商品の拡大などお客さまのメリットにつなげられるのです。

 新たな気づきもありました。当初は女性のお客さまが大半だと思っていましたが、利用者の3割以上は男性でした。例えば、人気のミールキットは「これなら自分でも家族に作ってあげられる」というお父さんや、外食ばかりなので手軽で健康的なご飯をたまには家で食べたいという一人暮らしの男性のニーズがあることがわかりました。「これなら夫に頼みやすい」「子どもでも作れる」という女性の声も多く、共働きで家族全員で家事を分担する生活にフィットしたのだと思います。

 今後は、スマホ発注の締め切りを午前8時から10時に延ばせないか、お店が少ない地方の郊外でも展開できないか、といったことも含め、より効率的で便利なサービスに育てていきたいと考えています。

AERA 2019年2月11日号