タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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111、114、110。これ、なんだかお分かりですか? そう、日本のジェンダーギャップ指数ランキングの順位の推移です。世界経済フォーラムが発表した2018年のランキングでは日本は149カ国中110位、前年より四つ順位を上げたものの、先進7カ国で最下位です。悲しいことにすごい納得感。折しもこの秋には東京医大などで入試の点数操作が行われていたことが明らかになり、世に衝撃が走りました。でもこれ、ずっと行われていたのにこれまでは暗黙の了解だったんですよね。それが「事件」になったのですから、一歩前進と見ることもできます。暗いトンネルを這い進むような中でも、確実に変化は起きています。
思い出してみれば、17年の今頃は、日本にも#MeTooの波が押し寄せ、伊藤詩織さんやはあちゅうさんの告発を受けて性暴力やセクハラにNOを! という声が広まりつつありました。アメリカほどの大きなムーブメントにはならなかったものの、年を越してもそのうねりは続き、やがて動きの鈍かったテレビや新聞などの主要メディアも特集を組み始めました。
4月に起きた財務事務次官による女性記者へのセクハラ事件では、被害にあった女性がハニートラップではないかなどと批判され、働く女性への憎悪や蔑視がむき出しになりました。これを機にメディアで働く女性たちが声をあげたこともあり、性差別やハラスメントの問題が極めて今日的な課題として、頻繁にメディアに取り上げられるようになりました。
世の中の空気も変わってきましたよね。M−1グランプリに出場した芸人が女性審査員を「更年期障害かと思う」と揶揄した動画が大炎上し、著名人も批判的な意見を述べましたが、これも数年前ならスルーだったかも。
のちに、18年は日本のジェンダーやハラスメントに関する意識が変わった節目の年だったと言われるのかもしれません。あれが黎明だったねと。そうなるように、歩みを進めねばと思います。
※AERA 2018年12月31日-2019年1月7日合併号