断崖絶壁の通学路を毎日往復するビビシュケリアさん(左)と妹(撮影/フォトグラファー・清水匡)
断崖絶壁の通学路を毎日往復するビビシュケリアさん(左)と妹(撮影/フォトグラファー・清水匡)
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水場まで片道1時間以上かけて行く少女もいる(撮影/フォトグラファー・清水匡)
水場まで片道1時間以上かけて行く少女もいる(撮影/フォトグラファー・清水匡)
住民がお金を出し合い作ったこの教室では、教諭1人が4クラスの生徒を受け持ち教えている(撮影/フォトグラファー・清水匡)
住民がお金を出し合い作ったこの教室では、教諭1人が4クラスの生徒を受け持ち教えている(撮影/フォトグラファー・清水匡)
倒壊の恐れがあるため立ち入り禁止となっている学校で学ぶ生徒たち(撮影/フォトグラファー・清水匡)
倒壊の恐れがあるため立ち入り禁止となっている学校で学ぶ生徒たち(撮影/フォトグラファー・清水匡)

 中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」で建設ラッシュに沸くパキスタン。その陰で、子どもたちの教育がなおざりにされている現状もある。

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 パキスタン北部の町アボタバード。この町は2011年にアルカイダの指導者ウサマ・ビン・ラディンが米軍に殺害されるまで潜伏していた場所だ。パキスタン政府はここが過激派組織の聖地化することを恐れ、現在建物は取り壊されてその痕跡は見られない。10年前にはテロ発生件数が約4千件にも及んだが17年には約370件にまで減少した。テロの発生件数に反比例する形で同国のGDPは右肩上がりとなっている。

 中国の「一帯一路」構想により、パキスタンから中国へ延びるカラコラム・ハイウェイはまさに建設ラッシュだ。町を歩いているとすれ違いざまに「ニーハオ」と声をかけられる。訂正するのは面倒なので、こちらも「ニーハオ」と返事する。積極的に話しかけてくる人には自分は日本人であることを明かすが「サンキュー、ジャパン・イズ・ベスト」と握手を求めて喜ばれる。中国の巨額投資に押され日本の存在感が薄くなっていると言われるが、一般人にとってはまだ身近な存在なのだろう。

 アボタバードから車でさらに2時間ほど北上すると坂道が増え、カラコラム山脈の裾野マンセラ郡に入る。マンセラ郡一帯は05年の大地震で犠牲者は8万人にも及んだ。学校施設は5722校が半壊・全壊し、13年経過した現在も半数近い2418校が再建されていない。この間に放置された学校はどうなっているのだろうか。私は車1台が通れるくらいの山道を少しずつ進みながら訪問することにした。山腹には点々と民家があり、村人は徒歩で山を下りて乗り合いトラックで町まで買い物に行く。

「山崩れで道がふさがっている。この先は歩いて行こう」とドライバーに言われ、山を登ること1時間、ドライバーが「あれが学校だよ」と指さした。そこには200人ほどの女子生徒たちが炎天下、地面に座って授業を受けていた。「校舎はないのか」と村人に尋ねると、「05年の地震で倒壊してしまったよ」と遠くを見つめながら答えてくれた。地震で6人の生徒が犠牲になったという。

 この青空学校は12~16歳の女子生徒270人が登録する歴とした公立学校だ。数学を教えるラビア先生(28)は都市部で4年間教壇に立ち、行政からの任命で学校に赴任した。辞令を受けた時は校舎がないことを知らされておらず、初めてこの学校を訪れた時は言葉を失ったという。女子校で男性教諭はいない。未婚女性が地方で単身生活することは文化的にはばかられるため、校長が借りている家に他の教諭と一緒に赴任生活をしている。

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