「二度とこいつにパスポートを渡してはいけないという人もいれば、また行ってくださいという人もいるので」と話す安田さん。再び紛争地に出向くかは、決められずにいる/7日、東京都内で(撮影/写真部・小山幸佑)
「二度とこいつにパスポートを渡してはいけないという人もいれば、また行ってくださいという人もいるので」と話す安田さん。再び紛争地に出向くかは、決められずにいる/7日、東京都内で(撮影/写真部・小山幸佑)
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 3年4カ月の拘束から解放され帰国した日本で待ち受けていた「自己責任論」。安田さんを謝罪に追い込む社会のあり方に、海外から厳しい目が注がれている。

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 AERA本誌インタビューから2日後の11月9日、安田さんは東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見に臨んだ。その表情は終始こわばっていた。

「私の解放に向けてご尽力いただいた日本、トルコ、カタールをはじめとする多くの皆様方、ご心配いただいた皆様におわびしますとともに深く感謝申し上げます」

 1週間前の日本記者クラブでの会見でも、安田さんは冒頭で同趣旨の「謝罪」を表明していた。これを受け国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は同6日、東アジアオフィス担当役員名で異例の声明を出した。

「命のリスクを負ってシリアの悲劇について同胞に伝えようとしていた安田純平氏が謝罪を強いられたことは受け入れられない。安田氏は困難を耐えたことに対して英雄として歓迎されるべきだ」

 日本外国特派員協会の会見でも、外国特派員から「日本社会は(国際社会と)異なった常識があると感じる。世界で活躍するジャーナリストとして謝罪する必要があると考えていますか」との質問が出た。

 この問いに安田さんは「報道の仕事、ジャーナリストの仕事が政府や権力にコントロールされるものではない、ということに全面的に賛成いたします」と同調する一方、「今回、私自身の行動にいくつかのミスがあったことは間違いないので、今後に生かしていくために、おわび申し上げますということを申し上げています」と説明した。

 謝罪の背景には、家族を守りたいという思いもある。

「自己責任と指摘しながら家族の連帯責任も追及するということを(04年にイラクで一時拘束された際に)経験していたので、自分自身で責任を取るという姿勢を示すことが家族にとってもいいと考えました」

 批判を受け入れつつも安田さんがこだわるのは、現地で見聞きしたことを、そのままの形で伝えることだ。

「現場で見たことを、なるべく詳しく伝えるべきだと思っています。今の自分の、『いや申し訳ないですから』みたいな心境で、現地の話を編集した形で伝えるのではなく、手を加えない形で出して、(受け手に)自分で判断してもらえたらいいなあと。受け止めようによっては、非常に興味を持つ人もたくさんいるわけなので」

 その思いがはっきりと表れたのは、インタビューで身代金について質問したときだった。

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身代金について、安田さんは…