母方の祖父が米国人で、永久自身はクオーター。3歳からバレエ教室に通い、「気づいたら踊っていた」という。
「毎日の練習がまったく苦にならない。バレエが好きすぎて、友達とも遊ばず、家ではずっとバレエ音楽を聴いていました」
持ち味はバレリーナの王道である可憐(かれん)さと、精密で強靱(きょうじん)なテクニック。写真撮影の時は、ミリ単位で自在にポーズを調整し、積み重ねた訓練を感じさせた。
「自分に厳しすぎて、追い詰めるところがあるので、そこを改善することが今の課題です」
ストイックであることはダンサーに欠かせない資質だが、永久はそれを語る時も、全身から音楽がこぼれ落ちてくるようだ。
戦後、森下洋子から始まった日本人スターダンサーの系譜は、吉田都(元・英国ロイヤルバレエ団)、中村祥子(元・ベルリン国立バレエ団)、加治屋百合子(元・アメリカン・バレエ・シア
※AERA 2018年11月12日号ター)らの活躍を経て、さらに新世代が世界の有名団を席巻する「バレエ4.0」ともいうべき局面に入った。
永久は、11月から始まる「マリインスキー・バレエ日本公演」で、ガラ公演のソロ、「白鳥の湖」で王子の友人役、「ドン・キホーテ」でキューピッド役に配された。マリインスキーの期待を背負って舞台に立つ。(文中敬称略)(ジャーナリスト・清野由美)
※AERA 2018年11月12日号