NHKドラマ「透明なゆりかご」の最終回が9月21日に放送される。AERAでも追い続けてきた妊娠、出産の現実を描いた作品だ。ドラマ初主演を務める清原果耶さんが見つめた命とは──。
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──NHKドラマ「透明なゆりかご」は幸せな出産ばかりでなく、中絶や死産など目をそむけたくなる現実を描くドラマです。AERAでも連載や書籍『産声のない天使たち』(小社刊)でこのテーマを書いてきました。
多くの人は、産婦人科は赤ちゃんが生まれる幸せな場所というイメージが強いと思いますが、実際にはいろんな事情を抱えた妊婦さんも多いですし、向き合っていかなければいけない問題がたくさんあります。そういったことを考えるきっかけを、このドラマを見てくださる人に授けられたらいいなという思いがありました。そのためにも、この作品をいかに身近な存在として捉えていただけるか、私がお芝居で伝えることができているのか、考えていました。
──清原さん演じる主人公のアオイは、高校の准看護学科に通う看護助手。産婦人科にアルバイトに来てすぐ、中絶の現場を目にしていましたね。
中絶をした数時間後に、同じ分娩台で出産する。想像がつかない世界でした。撮影中、自分の中で母性が揺らぐような感じがして、お芝居だとしても感じる圧力がありました。そういう気持ちってすごく大切にしていかなきゃと思って、最終回まで撮影をしていました。
──アオイの心の声で、望まれて生まれてきた命も人知れず消えていく命も「私にはその重さはどちらも同じに思える」というセリフがありました。
アオイちゃんが1話のオープニングで話す「命ってなんだろう」という言葉があるんですけど、命に向き合って考えていく物語でもあり、その言葉が心の中に響いていました。
──このドラマの撮影の前後で気持ちに変化はありましたか。
まずは私が生まれたこと自体が奇跡だと思ったんです。両親に感謝しなきゃいけないと思ったし、たくさんの人に支えられて生きている実感を忘れちゃいけないなと思うことができて、この作品に出合えてよかったなと感謝しました。