ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 今これをお読みの方で、来年間違いなく私の給料は上がる、と確信を持てる人がいったい何人いるでしょうか。その中で来年10月に消費税を上げるのですから、皆様防衛体制に入るわけで、消費なんて増えるはずがない。GDPの60%を個人消費が占める日本ではここが元気にならないと経済はどうにもなりません。

 なのにいまだにGDPのせいぜい15%しかない輸出、しかも工業製品輸出に拘泥する日本はどうかしているとしか言いようがありません。日本はフランスに対して貿易赤字だということを認識していない方が多すぎます。赤字の大半はワインなどの1次産品なのです。必死になって工業製品を輸出してもワイン(個人消費)にはかなわない、という現実があるわけです。

 数字で見てみると、結構ショックな状況が出てきます。例えば2人以上世帯の個人消費支出。最新のデータで2018年6月の数字は26万7641円。比較したいのは2011年3月の29万3181円という数字です。

 これは東日本大震災があった月の数字なんです。関西圏の方はそれほど印象はないかもしれませんが、東京でさえ、スーパーの棚から物が消え、ガソリンも販売停止となった月です。つまり、消費したくても物がなかったあの月よりも、今の消費額は低い。とんでもない現状と言わざるを得ません。

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