撮影/編集部・高橋有紀
撮影/編集部・高橋有紀
アプリの「定期券」画面。画面を見せるやりとりから、客と店員のコミュニケーションが生まれる効果もあったという(フードリヴァンプ提供)
アプリの「定期券」画面。画面を見せるやりとりから、客と店員のコミュニケーションが生まれる効果もあったという(フードリヴァンプ提供)

 音楽配信などで定着した定額使い放題のサービスが、食の分野でも増え始めた。1カ月8600円の「野郎ラーメン」に、本誌女性記者(37)が挑んだ。

【野郎ラーメンがリリースしたアプリの「定期券」画面はこちら】

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 首都圏の1都3県に16店舗を構える「野郎ラーメン」は昨年11月、「1日1杯野郎ラーメン生活」というアプリをリリース。月額8600円(税抜き、“ヤロー”価格)で、豚骨野郎780円、汁無し野郎830円、味噌野郎880円のいずれかのメニューを1日1杯食べられるサービスだ。どの店舗でも使え、同店が定義する「野郎世代」(食べ盛り、働き盛りの18〜38歳)が対象だ。

 仮に毎日食べると1杯あたり309円。食のサブスクリプション(月額課金制)に果たして勝算はあるのか。記者(37、女性)が試すことになった。

 世代的にはマッチするが、野郎ラーメンは食べたことがない。なぜならラーメンと言えば家系、が私の信条だからだ。はたしてどんな1カ月になるのか。夏を前に体重が増えたらどうしてくれようか。不安を抱えながら、アプリをダウンロードし、私のスマホには野郎ラーメン1カ月パスポートが収まった。

 向かったのはなんとなく女性でも入りやすそうな恵比寿店。職場に最も近いのは新橋店だが、初・野郎で新橋店はなんだかちょっと、と思ったのだ。後になって、新橋店のほうが女性店員もいて入りやすく、おしゃれスポット恵比寿のど真ん中で野郎ラーメンに入る方がハードルが高かったことに気づいた。

 食券の券売機を素通りすると、「あれ? なんで食券買わないの?」という顔で店員に見られているような気がする。「自分、これありますんで」と心の中でつぶやき、スマホを見せるともなく見せて、パスポートアピールをしながら席につく。

 アプリを開くと、店員がパスコードを教えてくれる。それを入力するとパスポートが使用済みとなり、午前0時を越えるまで使えなくなるというシステムだ。ちなみに日付が変わればまた使用できるので、午後11時、午前1時のようにハシゴして食べるのも不可能ではない。

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