

「コンビニ百里の道をゆく」は、48歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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私たちローソンにとって、スーパーマーケットは必ずしも競合関係にあるわけではありません。特に地方では、地元密着型のスーパーと連携し、ウィンウィンの関係を構築しています。
2009年に沖縄県でサンエーさんと、14年には高知県でサニーマートさんと、そして今年4月に広島県のフレスタさんと提携し、共同での店舗運営や商品開発などを進めてきました。
いずれも、長い間地元のお客さまに愛されてきただけあって、その情報は宝の山。地元のお客さまの嗜好から生活習慣まで、本当に細かいデータをお持ちです。それを共有していただくことは、地元ニーズを把握する上で、大きな武器になります。
また、地域密着型のスーパーは、地場のメーカー、問屋、物流企業から絶対的な信頼を得ており、地元でビジネスを進めやすくなるという利点もあります。
たとえば、サンエーさんとは地元食材を使った沖縄限定商品を、「ローソンセレクト」として共同開発してきました。あぐー豚入りあんだんすー、うちなーポーク、島とうふ、さんぴん茶、沖縄そば……。これらはローソンの商品づくりのノウハウと、サンエーさんの「調達力」が融合して生まれました。
全国チェーンであるローソンが地元の食産業に食い込むのはそう簡単ではありません。コネクションやルートがなければ、門前払いされることもあります。
しかし、沖縄県で「サンエーさんと一緒に商品を開発している」と言えば、地場のメーカーも「あのサンエーさんが組むなら」と信頼し、商品づくりを受けてくれます。一方、サンエーさんには販路を拡大し、商品づくりの幅を広げていけるというメリットがあります。
47都道府県、どこにでも地元に強いスーパーがあります。相乗効果が見込めるならば、今後も地場のスーパーさんとの提携は広げていきたいですね。
※AERA 2018年7月16日号

