

「コンビニ百里の道をゆく」は、48歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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国会での議論もあり、「働き方改革」に大きな関心が集まっています。もちろんローソンでも会社全体で取り組んでいますが、働き方「改革」というからには、働き方の質を変えることが必要です。
単に労働時間を減らし、その分アウトプットが落ちるのでは改革になりません。決められた時間で最大限の価値を生み出し、会社はその価値に報酬を支払う。今までよりも短時間で更に質の高い結果を生み出すには、デジタルとアナログの両面での進化が必要です。そして、心身の健康は大前提です。
コンビニの店舗は、原則24時間営業です。担当地域のお店に経営指導をするスーパーバイザー(SV)は、業務の性質上、長時間労働になりがちでした。お店にとっては、SVが一番頼りになる存在で本部そのもの。だからこそ、昼夜関係なく問い合わせや要望を受けていました。
本部も「お店のことはなんでもSVに」という意識になってしまい、負荷がかかっていました。業務量が膨大になりすぎた結果、本来の業務である「経営指導」に支障も出ていました。
そこで、仕事をすべて棚卸しして、「やるべき仕事」「やめるべき仕事」「本部でやる仕事」「ITに任せる仕事」などに整理。就業時間外の店舗からの問い合わせは、コンタクトセンターが一括対応するなど店舗運営にも支障がないよう努めています。結果、SVが現場でオーナーさんとしっかり向き合う時間が持てるようになりました。去年の夏からはSVの働き方を「みなし労働制」から「時間管理」にしましたが、労働時間は短縮されました。
本部でも18時以降は、基本的にメールや電話は禁止。本社は19時以降、1時間ごとに消灯し、帰宅を促しています。長時間労働が美徳とされた時代はとっくに終わっています。いい仕事は心身の健康あってこそ。選択と集中でいかにアウトプットを上げられるか。これからも、時代に合った「働き方改革」を推進します。
※AERA 2018年7月9日号