

「コンビニ百里の道をゆく」は、48歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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この連載で、私は2018年の抱負を「デジタル元年にする」と明言しました。今、コンビニ業界はデジタル化、オートメーション化が進んでおり、その流れが止まることはありません。慢性的な人手不足のなかで、プライオリティーを判断しながら効果的なIT投資を進め、生産性を最大限に向上させることが、ここ数年の大きな経営課題となっています。
みなさんの身近にあるコンビニの店舗の裏側は、ほとんどIT化されていると言っても過言ではありません。商品の発注はセミオートシステムを使って個店のデータ、天気などから最適な発注ができるようになっています。
生産、配送、在庫管理もしかりです。今後、スマホ決済、無人レジなど実証実験中のシステムの基盤が整えば、人手が必要な「アナログ」な仕事は、ずっと限定的になります。
でも、日々現場で一生懸命働いているがゆえに気づかないこともある。店舗の掃除はロボットにはできないのか、フライドフーズをもっと機械化できないか、などお店での一つひとつの作業にも、まだIT化できる余地は残っています。外国人従業員の皆さんや店舗に配属された新入社員のフレッシュな意見も大いに参考にしながら、より大胆に「人がやる仕事」と「ITに任せる仕事」を再構築したいと考えています。
17年度は、設備投資だけで870億円以上を計上しました。中長期的にみれば、これは必要な投資です。費用対効果を慎重に見極めながら、コスト削減と売り上げ向上を達成するために、優先順位をつけて、ローソンに最適な「デジタル化」を推進していきます。
店舗では「人にしかできない仕事」を徹底的に実行します。煩雑な業務をIT化し、接客や店内厨房などに注力して、人の温かさをもっともっと感じられる店にしたい。若い人からお年寄りまで安心して働くことができ、たくさんの人から愛されるお店づくりを目指していきます。
※AERA 2018年6月11日号

