あまり明るみになることのない、夫婦間の性の問題。AERAでは4月下旬、リサーチ会社とアエラネットを通じて、独自のアンケートを試みた。
アンケートでは、以下の12のいずれの悩みを抱えているか聞いた(複数回答)。(1)「セックスレス」(2)「夫(妻)とはセックスしたくない」(3)「セックスのマンネリ化」(4)「子どもがいてセックスできない」(5)「自分はセックスしたいが相手が無関心」(6)「セックスする相手がいない」(7)「ED、早漏、不感症(オーガズムに達しない)」(8)「セックスの時に痛みを感じる」(9)「ある程度の年齢なのに、セックス未体験」(10)「障害を持つ子どもの性」(11)「老親の性」(12)「その他」。対象は20~60代以上の男女計568人。
今回のアンケート結果を見て、日本性科学会理事長で、長年にわたり性の相談を受けている産婦人科の大川玲子医師が注目したのが「男女の差」だ。いわく、「男は単純、女は複雑」。
顕著なのが20代。男性の悩みは「セックスレス」「セックスする相手がいない」「セックス未経験」の三つ。対して女性は12の悩みすべてに該当者がいた。大川医師は20代男性の草食化、絶食化が進んだ結果ではないかと見る。
「相手がいなければ、セックスレスだし未経験。となると、悩みも当然少なくなります。絶食化の背景には、セックスに至るまでのコミュニケーションを面倒と感じる男性が増えていることがあるのではないかと思います。一方女性は、性行動において特に、従来の受け身姿勢を変えられない」
中高年女性の回答も興味深い。「セックスレスが悩み」と答えた50代の女性は41%、60代は50%。一方で「夫とはセックスしたくない」と答えた女性は50代が12%、60代は13%。つまり配偶者がいる50代、60代の女性は夫とのセックスを拒絶する傾向がある。
先の大川医師は言う。
「特にシニアの男性は、女性のことを考えず一人パフォーマンスしているからだと思います。また多くの女性も、男性が傷つくのを気遣って言いたいことも言えず、不満だけ残ってしまいます。セックスとは、男女を結ぶ大切な絆。男性は女性の気持ちを聞き、女性もちゃんと自分のしたいことを伝えることが大切です」