竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
ロピック始めました(※写真はイメージ)
「コンビニ百里の道をゆく」は、47歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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3月6日から、生鮮品などをスマホで予約して店舗で受け取れる「ローソン フレッシュ ピック」(ロピック)がスタートしました。昨今、さまざまな企業が生鮮品宅配事業に参入していますが、「好きな時間に最寄りの店舗で受け取れる」という利便性は、他社にはない特徴です。
事前調査でわかったことは、現在の生鮮品宅配サービスでは「待ち時間」に対するストレスが高いことです。注文した当日に時間指定で届くとしても、2時間くらいは家にいなければならない。共働き世帯だと、平日に家で届くのを待つ時間はないですよね。
帰宅が予定より遅くなることもあるし、その日の夕食に使う食材なら、届くのを待つ間、料理を作れないのも困ります。それなら、朝のうちに注文して、仕事帰りにサッと立ち寄れるコンビニで商品が受け取れると便利、という声が多くありました。
そこで、朝8時までにスマホで予約すれば、当日18時以降に指定の店舗で受け取れるシステムを構築。店舗にはあまり置いていない肉や野菜などの生鮮品をはじめ、食材と調味料がセットになったミールキット、グループ会社である成城石井のヒット商品など約500種類をそろえました。
市場価格より値段を抑えた食材も多いので経済的。当面は東京都世田谷区、渋谷区、川崎市、横浜市の一部地域が対象ですが、年内、あるいは来年早々には、首都圏はもちろん近畿、中部でもサービスを始めるべく準備中です。
既存のチルド配送を活用できて、物流網の再構築は必要ありません。店舗は販売する商品の種類が増えて、売り上げ増が期待できます。パッケージされた商品を冷蔵庫で保管しておいて、お客さまにお渡しし、精算するだけ。品出しの必要さえないので、店舗で働く人たちのオペレーションはほとんど増えません。廃棄の心配もありません。
平日の食材の「買い足し」から、ちょっとぜいたくしたい日のご褒美まで、いろいろな使い方ができるはずです。ぜひご活用ください。
※AERA 2018年4月2日号