●加点のつくジャンプを
平昌五輪は、けが明けの羽生との今季初の直接対決。
「ユヅ君に勝ちたい」
と奮い立ったが、シニア7回目の挑戦でも勝てなかった。
「羽生選手や(3位の)ハビエル(・フェルナンデス)選手を見て、自分に足りないものはジャンプをただ跳ぶことだけではなくて、加点のつくジャンプを跳ぶことだと思った」
表彰台に乗った3人のうち、フリーでは、高難度のジャンプに挑んだ宇野の基礎点が一番高い。だが、出来栄え点(GOE)では2人を下回った。羽生は二つの4回転ジャンプで3点満点の評価を受けるなど、GOEだけで16.99点を稼いだ。それが宇野は7.87点。上に行くためには、ジャンプの質を高め、完成度を上げることが必要だ。
17年4月の世界選手権、12月のグランプリファイナル、18年1月の四大陸選手権、そして平昌五輪と2位が続いている。
宇野の分析は冷静だ。
「コンスタントに大崩れすることもなく、爆発的な演技をすることもなく、ずっと2位を取り続けている」
頂点に立つには欲が足りない?と問われると少し間を置いて、
「欲というより、経験や実力が(足りない)。加点のつくジャンプが練習ではできていても、試合ではつまったジャンプになってしまうので、試合でも出す経験が必要かな」
羽生の強さを改めて目の当たりにした五輪の舞台。自分に足りないものにも気づけた。
「羽生選手は最大の目標で憧れ。いつまでも追いかけ続けたい」
(朝日新聞スポーツ部・野田枝里子)
※AERA 2018年3月5日号