正社員、契約社員に派遣社員、嘱託、パートにアルバイト。雇用形態によって職場が分断され、アラフォー世代を中心に、非正社員が悲鳴をあげている。
【図】非正社員アンケート<いまの職場で正規雇用になれると思いますか?>
AERAでは、2月下旬、調査会社マクロミルの協力を得て、20代から50代までの非正規雇用者324人を中心に、アンケートを行った。
非正規雇用者は、企業にとってどんな存在で、どこにメリットがあるのか。寄せられた回答は、現職を選んだ理由にかかわらず、総じてシビアだ。
「いつでも切れる」「安く雇える」「都合よく使える」「使い捨て」
本意・不本意を問わず、正規・非正規を問わず、ほとんどの雇用者がそう認識しているのだ。
さらに詳しく回答を見ていくと、不本意非正規では悲痛な声が目立つ。
「生まれた時から不況世代」という男性(44)は、新卒時、エンジニアとしてIT企業に就職した。必死で就活したが就職先は選べる状況ではなく、契約社員として社会に出た同期も多かった。3年後外資系に転職したが、数年でリストラされる。
「以降は派遣社員として、1年ごとの契約を結んできました。年収は280万円ほどで、正社員時代に比べて、6割程度に落ちました」(男性)
車を売り、家賃もセーブ。外食や飲みに行く機会を減らし、以前は月5万~6万かけていた交際費も現在は1万円に切り詰めた。40歳を超えると、求人が目に見えて減った。マンションは保証人がいないため借りられず、収入や安定性の面で婚活サイトに登録しても相手にされない。
「非正規は、生活が安定しないし、結婚もできない。非正規になると、50代までずっと不遇な時代が続くと思います」(男性)
正社員として採用されても、一度非正規になるとなかなか正規に戻れない。病気になってしまえば、なおさらだ。現在、作業所に通う男性(36)は、最初の就職がうまくいかず、1週間で退職。その後、自動車メーカーに正社員で工業簿記として入社。パワハラがあるなか、無理をして2年半勤めたが、その間に心身のバランスを崩して退職。以降、抑うつ症状が出るようになった。現在も、安定した仕事には就けていない。
多様な雇用形態が入り乱れるからか、時として職場にはひずみが生じる。国立大卒で団体の契約社員の女性(40)は、メーカーの正社員営業職として2年勤務し、資格試験勉強のためのブランクを経て、現職に就いた。職場の正社員は非正社員よりも意欲もスキルも低い。そのため、女性ら非正社員が多くの業務を負担する。正社員の賃金は非正社員の、おそらく2倍以上。
「『自分たちは総合職だ』という特権意識だけがあって、仕事に対する責任感はとても希薄です」(女性)
旧世代の価値観の弊害もある。ある契約社員の女性(43)は、こう語る。