日本を覆うヘイトスピーチの嵐は、年々その強さを増している。「女性が輝く社会」を横目に「JKビジネス」も横行。いつまでもこんなことを許していてはいけない。暴力、性暴力、貧困などさまざまな理由で家に帰れない少女らに食事や居場所を提供する一般社団法人Colaboの仁藤夢乃(にとう・ゆめの)さんと、政治家の言動や、サッカーの試合会場での差別発言や差別的行為を監視・記録し、情報発信するヘイトウォッチ団体、反レイシズム情報センター(ARIC)の梁英聖(リャン・ヨンソン)さん。それぞれの分野で闘う二人が語り合った。
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仁藤夢乃:お会いするのは初めてですが、活動は拝見していました。政治家の差別発言を集めたデータベースのことは、去年の衆院選のときに何度かSNSでシェアしたりして。
梁英聖:ありがとうございます。僕たち「反レイシズム情報センター(ARIC)」が主にやっているのは、差別を監視・記録する「ヘイトウォッチ」です。
仁藤さんが見てくれたのはウェブ上で公開している「政治家レイシズムデータベース」ですね。立候補予定者らの差別やヘイトスピーチにあたる発言をまとめたものです。いまも更新していて、政治家や選挙の立候補者、公務員や大学教員も含め、3700以上のケースをアップしています。
●うっかり差別じゃない
仁藤:差別の問題は、私もすごく身近に感じています。代表理事をしているColaboは、家庭内暴力や貧困など、いろんな事情で居場所をなくした女の子たちに食事を提供し、シェルターで保護してきました。
彼女たちは買春や、女子高生に男性のマッサージをさせたり一緒に散歩させたりする「JKビジネス」の被害に遭っていることも多いので、性的搾取の問題にも取り組んでいるんですが、活動を始めたとき、ものすごい数の暴言がツイッターにあふれたんです。「売春するのは朝鮮人だけだ」とか「お前もチョンなんじゃないか」とか。