また第69条には「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」と規定されています。この条令での解散は、宮澤内閣のとき以降、一度も起きていないということからも、今回の解散権の行使は異常です。
「大義名分の中で有権者に選ばせる機会を与えているのだから、より民主的だ」というレトリックが使われましたが、それもおかしな理屈です。内閣の不信任決議が出ているわけでもない。有権者も何を問いただしたらいいのかわからない。そんな状況での選挙は、野党の分裂で与党大勝という結果になりました。
今回の衆議院選挙は大義がないだけでなく、日本の議院内閣制に大きな禍根を残しました。解散権については、憲法上の問題も含めて徹底的に議論すべきです。
※AERA 2017年12月11日号