

タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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告白します。私もやっていました、フラリーマン。
まだ子どもたちが幼かった頃のことです。当時は私も会社に勤めていました。仕事が早く終わってもすぐに保育園にお迎えに行かず、街をぶらぶらしていたのです。あと30分だけ、10分だけ、と。
一刻も早く迎えに行って息子たちの顔を見たいという気持ちはありました。だけど、お迎えから寝かしつけまでの修羅場、そのあとは片付けと仕事の準備で今夜も寝るのは午前2時……という怒濤のような一連の作業(しかも話の通じない子どもたちにペースを乱されまくりながら)を思うと、憂鬱でたまりませんでした。当時は育児と仕事でフル回転で、いつも追い立てられているような気持ちでした。あと何年こんな暮らしをするのだろう、と夫婦で途方にくれたことも。