大和和紀(やまと・わき)/1948年生まれ。66年のデビュー以後、幅広いジャンルでヒット作を描き続けている。最新作に『イシュタルの娘~小野於通伝~』 (c)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会
大和和紀(やまと・わき)/1948年生まれ。66年のデビュー以後、幅広いジャンルでヒット作を描き続けている。最新作に『イシュタルの娘~小野於通伝~』 (c)大和和紀・講談社/劇場版「はいからさんが通る」製作委員会
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 1975年に「週刊少女フレンド」で連載が開始された人気を博した漫画『はいからさんが通る』。これまでテレビアニメ化や舞台化されてきたが今年11月、初めて劇場版アニメ化された。作者の大和和紀さんに連載当時の秘話や現在の心境などを聞いた。

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『はいからさんが通る』(以下、『はいからさん』)を描いた当時、少女マンガの主流は学園物でした。デビューして10年くらいたっていて、だんだん自分が描くことに飽きていたんです。

 恋愛物を描くならば、自分が惚れられるような男性が出てこないと気持ちが入りません。いくらカッコよくても、こちらは20代ですから、お相手が高校生ではもうちょっと。

 そこで大正時代の日本を舞台にするのはどうだろう? と、思いつきました。大正時代の女学生の格好、着物に袴、革のハーフブーツというファッションも可愛いし。そうはいっても、少女マンガでは時代物はウケない、と思われていた頃でしたが、『はいからさん』の前に平安時代を舞台にした『ラブパック』を描いたのが好評だったので、コメディーなら大丈夫だろう、と。企画を通すのに担当者ががんばってくれました。

『はいからさん』は、新鮮だったと言われるのですが、実は「おてんばな主人公が初恋を成就する」という、少女マンガの王道を行っているのです。そこさえぶれなければ、あとは何をやっても問題はない、と思っていました。

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