SNS利用が進むラジオ、DJとリスナーの関係性が少しずつ変わってきているという。そんな現場の雰囲気を肌で感じているラジオDJ・秀島史香さんに、共感が生まれる「思い」の伝え方について聞いてみた。
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最近は特にラジオの生放送でSNSが使われるようになって、それまで1対1だったDJとリスナーの関係性は、少し変わりましたね。横並びで情報共有するようにもなりました。
それでも、やっぱりDJの本質は、一人ひとりに「声で届けること」だと私は思うんです。
いまや自動音声もすごく進んでいますよね。でも、声に「情緒」をのせて届けることは、人間でなければできないことです。いくらAIに「雨ですね」と言われても、それはただの情報です。心に響かない。でも「窓を開けたら、雨の匂いがしました」と語りかければ、共感が生まれます。雨の感覚を伝えようとする「思い」が加わるからこそ、目の前にいないDJでも、身近に感じてもらえるのではないでしょうか。
そのためにもどんな声で、どんなふうに話すかは大切です。大きさ、トーン、それに「間」が表情を生み出します。若いころはもちろん、今でも、私は自分の番組を何度も聞き直します。それはもう、耳をふさぎたくなるぐらい嫌ですけど、モデルがポーズの研究をするように、どんな声の出し方をすればどう聞こえるのか。自分の声を知ることで、使うための技術を磨くことができると思っています。