米国が地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から離脱すると発表するなど、地球温暖化への逆風が目立つ。だが温暖化が招く危険は、海水面上昇や高温による砂漠化などだけではない。大雨や強風などの短時間事象、干ばつや冷夏などといった「異常気象」の頻度が高くなるのもそのひとつだ。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書などもその可能性が高いと指摘している。では、今回の九州豪雨のような集中豪雨の頻発は、温暖化のせいなのか。
日本の平均気温は、長期的に100年あたり1.2度ほど上昇しているとされる。降水量はどうか。気象庁が1976年から2016年までのアメダス観測で1時間に50ミリ以上の降水(非常に激しい雨)がどの程度発生したかを調べたデータによると、増加傾向は有意に認められるという。
気温が上昇すれば、空気中の水蒸気の量も増えそうだ。実際、日本の年間平均気温と降水量最大値の関係を見ると、気温の上昇は降水量最大値の増加のひとつの原因となりそうだというデータはあるという。シミュレーションによる予想もあるにはある。ただ、集中豪雨の程度は、気象条件や地理的条件とかなり密接な関係にある。一つ一つの例の検討が不可欠で、集中豪雨が増加する原因が温暖化だと言い切ることは、難しいだろう。
※AERA 2017年7月24日号