2000年に本のECサイトとして日本に上陸したアマゾン。いまやあらゆるものを扱い、他の追随を許さない巨大ECサイトに成長した。一方で、アエラが行ったアンケートでは、回答した137人のうち「アマゾンを使っている」と答えた人が96%。同時に、「できれば使いたくない」と答えた人が44%もいた。拡大の原動力は。便利なのに不安にさせるものの正体は。AERA 2017年7月24日号では「アマゾン」を大特集。
今回は、ジャーナリストの津山恵子さんがアマゾンブックスへ行った際に感じた、ある新鮮な「体験」をご紹介する。
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ニューヨーク・マンハッタンの高級住宅街に近いアマゾンブックスに行くと、いくつかの新しい「体験」ができる。
まず、書店にしては混み合っていて、ベビーカーを押す家族連れから年配者まで年齢層も幅広い。店内に入ると誰もがスマホを手にしている。アマゾンのカメラアプリを開いて本のカバーを撮影すると、本の正札と「アマゾンプライム会員」である場合の値引き価格がすぐに表示されるからだ。上下に並んだ2冊の本を同時にカメラで写してみたが、両方の情報が出てきて、その精度に驚いた。
●アプリ登録のカードで
アジア系の父子は、店内で長いことスマホに見入っていたが、アマゾンの人工知能スピーカー「エコー」のコーナーに行くと店員に質問を始めた。購入後は、二人ともニコニコだった。
「アプリの情報を読んでわからないことを絞り込んでから、店員に聞いた。納得がいく説明だった。オンラインで買うのに比べて、大きさが目の前でわかるのも便利だ」
と父親。確かに、筆者もパソコン関連用品などをオンラインのアマゾンで購入した際、思っていたサイズと異なるものが来て返品することがある。
米メディアは、アマゾンはこのアマゾンブックス・ニューヨーク1号店を開くにあたり、マンハッタンの高級住宅街における本の購買動向、キンドルの保有率、プライム会員の数などを調べたと報じている。見たところ、ほとんどの来店客はアマゾンのアプリをすでに使いこなしている様子だった。